★アンフィカー 770に関して
アンフィカー 770(Amphicar770)は1961年から1968年まで西ドイツのカールスルーエで製造された、2ドアオープンボディのレジャー用水陸両用車である。
水陸両用を意味する「アンフィビアス 」(amphibious)と自動車を意味する「car」を組み合わせたものが名前の由来で、最高出力 43ps/4750rpmを発揮し7ノットで水上を巡航、陸上では最高速度113km/h(70mph)で走行できたため、これが「770」の由来となっている。
モノコックの2ドアオープンボディの下面を完全に密閉した水陸両用のボディは、路上からそのまま沼や湖などに入って行けるようフロント下は波切り状に成形されている。
RRの駆動方式で陸上走行し、水上ではテールにある2つのスクリューで航行するユニークな乗り物である。
トライアンフ・ヘラルドのエンジンを流用した、水冷4気筒OHVエンジンはシングルキャブレター、4速MT、サスペンションはF/マクファーソンストラット、R/ストラット、ブレーキはF/Rともドラムである。
■当車について
1995年国内登録のUSAよりの中古並行車、オーナー歴不明、雨天未使用、10年程前に現オーナーが一時抹消登録の状態で購入したが車検は一度も取得せず。マンションの軒下の駐車場にてボディカバー保管、書類あり、定員4名、水上航行用の航行灯あり。
注1) 抹消登録証明書では排気量は1.4L 、車幅と車高が同じ数値となっているため、もしかしたら間違えて記載されているかもしれません。
注2) 車検取得にあたっては現在の国内の道路交通法に合わせた改造を行う必要があります。
注3) 水上を航行するにあたっては、現在では船舶検査を受ける必要があり、小型船舶操縦士の免許が必要かと思われます。
なお上記に関しての詳細は判らないため、質問はお受け出来ませんのでご了承下さい。
■エクステリア
ボディのデザインは当時流行ったフィンテールを採用しており、リアにはスクリューが2基備わっています。
サイドモール以外はオリジナルとの事ですが、過去に何度か塗られているようで、目立つ傷や凹みはありませんが上塗りで塗装されているため、仕上がりは良くありません。
風通しの良い軒下、ボディカバーを掛けて保管していた事もありこの年式からすると錆は比較的少なめですが、ところどころに浮錆や塗装の割れがあります。
エンブレムやメッキ類は年式相応で経年のヤレ感があり、タイヤは4本とも空気が抜けてしまって、ヒビも入っていますので交換が必要です。
ウエザーストリップのゴム類も劣化してヒビが入っており、特にドアのゴム類は水上航行の際には水の浸入を防ぐために交換が必須です。
幌は経年の汚れが溜まって、かなり汚れていますが、小さな破れがある程度です。
オープンにはなりますが、開閉時にビニール地及びリアスクリーンにダメージを与える懸念があったため開けてはいません。なお、リアスクリーンは曇ってしまっています。
また肝心の水に浮かべた場合の防水に関しては、ボディの錆による穴の有無やシーリングの部分を確認した方が良いでしょう。
■インテリア
車内はオリジナルのようですが確証はありません。
長い間密閉状態だったせいか、あちこちにカビが発生しており、内張りも剥がれてしまっているところがあります。
ベンチシートは運転席側の座面に3cm程度の破れがありますがその他は概ね良好です。
ただ、経年劣化で中のスポンジの弾力が無くなって来ており、座るとスポンジが潰れるような感触があります。
メーター類やスイッチ類の動作の確認は出来ませんでしたが、スイッチに関しては幾つか不明なものがあります。
フロントのトランクにはスペアタイヤを入れるスペースがありますが、タイヤはありません。
またフロアの塗装が一部剥げて、錆が出ているところがあり、特にブレーキのマスターシリンダーの錆が酷いので交換が必要です。
■エンジン・整備関連
エンジンは3年程前までは2ヶ月に1度位掛けていたそうですが、それ以降は掛けていないそうで、現在でも掛かりません。
またガソリンや冷却水もそのままとの事ですので、エンジン始動はメカに任せた方が良さそうです。
エンジンに限らず、駆動系や電装系も一通りチェックする必要がありますので、レストアベースと考えた方が良いかもしれません。
国内に輸入された際には車検を取得していたようですが、現オーナーさん所有になってからは車検を通した事は一度も無く、船検も受けた事が無いために幾ら掛かるとか、どうすれば良いかは分からないそうです。
また取扱説明書等も無いため、車に関しての詳しい説明は出来ないとの事でした。
※ちなみにYOU TUBEでアンフィカーの説明をしているシーンがありますので参考にして下さい。
購入当初は、一度だけローダーで運んで湖に入った事があったそうですが、以下がオーナーさんによる水上航行の際のコメントです。
【 水上航行の際の運転方法 】
・入水の際は、左右ドアのヒンジコックを締め付け、ボディとドアを吸着させて水が浸入してこないようにします。これを怠るとたとえドアが閉まっていてもすごい勢いで水が車内に流れ込んできます。
・車内のフロアはビニールになっており、進入した水は排水溝を通ってリアのエンジンの真下あたりのところまで行き、そこから排水ポンプでリアエンドの排水穴から排出されます。
・クラッチを踏んでスクリューギアを前進に入れて入水します。
入水しアンフィカーが浮かんでいることを確認したらギアをニュートラルにしてタイヤの駆動を止めます。
・水上では20km/h弱で推進します。舵はフロントタイヤで行うため、水上でもハンドル操作を行います。
・陸上に上がるときは、入水時とは逆にギアを1速に入れ、リアタイヤを回転させながら上陸します。
この時にすこし勢いをつけなとフロントタイヤが先に着岸し、スクリューの力だけでは上陸できなくなってしまうこともあります。
■オーナーさんより一言
10年程前この車に偶然出会い、こんな車は2度と買えないと思って購入しました。
一度だけ湖で航行しましたが、水上をボート感覚でゆるゆる進む気分は最高でした。
車検を取って乗るつもりが、仕事が忙しくなり、今に至ってしまいました。
今回、出品にあたり現状渡しでお譲りする予定ですが、もしかしたら途中で気が変わってレストアしてまた乗るかもしれません。
■エンスーの杜取材担当者の私情インプレ
この車が動いて、水に入れたらどんなに楽しいか想像してしまいました。
オープンカーとモーターボートの2つが楽しめるこのアンフィカー、湖の近くに家や別荘をお持ちの方にお勧めしたいファニーカーです。
なお、上記の文中内でも記載していますが、車の取扱に関してや車検や船検、船舶免許取得に関しても全く分からないそうですし、またそう言ったところの紹介も出来ないそうですので、このあたりがお分かりになる整備工場やメカをご存知の方やご自分で出来る方のお問い合わせをお待ちしています。
■お問い合わせに際して
・車両は神奈川県横浜市にあります。
・記事内容はオーナーさんのコメントをもとに作成したものですので、整備記録の有無、修復歴、関連書類などに関しては、エンスーの杜で裏づけを取ったものではありません。
・記述している状態等のコメントもあくまで取材時の状況及び取材担当者の主観によるものですので、月日が経過して写真や記事との相違があったり、ご自身の主観との差異が生ずる場合があります。
・掲載車両に関してのご質問や現車確認のお申込はこのページの一番下よりご連絡下さい。なお冷やかし防止のため、現車確認は購入を前提にお考えの方のみとさせて頂きます。
■購入される場合
・車両代金のみ
※個人売買のため、支払いは現金一括で現状渡しのノークレームとなります。