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アウトビアンキ A112 アバルト 1984年式
車検 2025年10月 走行 50,700km(メーター表示ですが5桁表示により不明とします) 備考 5MT ヒーター ワンオフホイール
長さ 327cm 157cm 高さ 134cm 重量 690kg 排気量 1040cc
取材日2025年4月29日

「ABARTH」
この名を聞いて心踊る諸兄たちも多いことであろう。
言わずと知れた名チューナであるカルロ・アバルトは、しばし「アバルトマジック」と評されるように小排気量の小型車のパフォーマンスを引き上げ、
市販小型車において速さと楽しさをもたらし、多くのドライバーたちを魅了してきた。
モチーフであるサソリの由来は彼の誕生星座である「さそり座」から来ていると言う。
小さな体に猛毒を宿し、己よりもはるかに大きな相手を仕留めることができる、それはつまりは大物食い。
そこには数々のレースで大排気量のクルマを相手に輝かしい戦績を収めた姿こそ、サソリそのものである。
付け加えるなら、カルロ・アバルトは機能だけではなく高い審美眼も併せ持ち、美しさへのこだわりも相当なものであったと言う。
アバルトのサソリに毒された人々は奇しくも美的な魅力をも取り込んでいたということになろう。

サソリの小さいカラダとは、ここで言えばコンパクトカーに当たる。
かつて日本では「ホットハッチ」や「ボーイズレーサー」と呼ばれた小さなハッチバックのスポーツモデル、イタリア流に言えば「ピッコロ」か。
この先駆けとなったのは、今回ご紹介するアウトビアンキ A112アバルトである。
 
ここでアウトビアンキについて軽く触れておくと、1955年に「おしゃれで上質な小型車」を狙って創業されたとある。
2輪のビアンキと4輪のフィアット、タイヤのピレリの三社による合弁事業で、高級ブランドかつフィアットの実験室としての位置付けもあったようだ。
そこで69年にA112が、のちのホットハッチ文化に多大な影響を及ぼすモデルが誕生、そのスポートモデルが今回ご紹介する「アウトビアンキ A112 アバルト」である。
このA112、もはやアバルトが手がけた代表作となっているが、アウトビアンキというメーカーをスポーティかつ個性的なブランドとして印象づけたのは、アバルトの功績とも言っていいだろう。

デザイン、走り、実用性、
その要素を詰め込んだ、イタリアを代表するコンパクトカーの様相はいかに。

A112は初代が69年、終焉を迎える85年まで7〜8回ほどシリーズ改良があったそう。
こちらは84年式であるので後期モデル、それは熟成の度合いが高いと言えます。

まず印象的だったのは、その佇まい。
姿勢がよいとでも言うのでしょうか、しっかりと大地に足がついた姿に、コンディションのよさが垣間見られます。
これもオリジナル、、、とよく見るとワイド化されたオーバーフェンダーに、ワンオフでつくられたフォーミュラーワンのホイールを収めた効果が加わっているようです。
前オーナーはA112をこよなく愛する方で、手間とコストを一切惜しむことなく愛情を注ぎ込んでいたようで、それは残された記録が物語っています。
コストを言えば、その金額で驚かせるつもりはないのですが、しかし400万円を超えていると聞けば、その深さを推しはかるには十分なものです。
その恩恵を受け、現オーナー様が所有しているこの5年間にほぼトラブルがなかったと言う優等生ぶりを発揮、オーナー様の目指す動態保存がしっかりなされている印象です。

ボディは前オーナーも手をつけていないとのこと、となれば歴代大事にされてきたことが窺える、イタリアンレッドは今もって艶やかです。
リアビューを印象付けるガーニッシュもよい状態、それを止めるビスは頭がガーニッシュの素材に合わせたプラスチック製と言うのも、カルロ・アバルトの美へのこだわりなのでしょうか、但し、それがしばし割れてしまうようで、すでに数本交換しています。細かなところも見逃さないオーナー様もまた、このA112への深い愛情を注いでいるのが窺い知れます。

アバルトのドーピングにより70hpまで引き上げられたエンジンは、セルですぐに目覚め、淀みのない回転フィールをもたらします。
マフラーはステンレス製のワンオフのようですが、爆音とは無縁なむしろ音量をあえて抑えたかのような仕様は好感を覚えます。
前オーナーの所有時には腰下のOHも行っているそう、補機類の交換やOHの項目も記録にあり、ここまでの抜かりないのないメンテによりアバルトの本領を味わうことができています。
購入後はノントラブルを持続、油脂類交換等の基本的なメンテに終始しています。

しっかりデザインされた上質なインテリアは、それを快適に味わえるようしっかりと維持されています。
オリジナルからの変更はシートとステアリング、シート変更によりポジションが変わることから、ステアリングの角度の調整がなされているようです。尚、オリジナルのステアリングは保管されています。
イタ車特有とでも言いましょうか、ダッシュ等のベタつきは気になるところですが、それらが一切ないのところは快適なドライビングに貢献している要素のひとつでしょう。それにはオーナー様のご職業にだいぶ関わりがあり、快適にアバルトと過ごす車内環境を整えられているのは納得の理由です。

ここでオーナー様からうかがったA112アバルトの魅力と、ここに至るまでを記していきますので、しばしお付き合いを。
スーパーカー世代であるオーナー様は、18歳で免許を取りモーターショーで見たFC型のRX-7に魅了され、貯金に励んだ結果それを手に入れました。
ここでまずロータリーエンジンに趣向がむきます。
傍で草レースにも参加していたそうで、バイクとともにどっぷりとモーターライフに浸っていきました。
そこから家庭を持つことになり、実用的なホンダビガーに変わりますが、走りを楽しむ趣向は冷めることなく、ロードスターを手にします。
と、ここまでは国産車ですが、輸入車の存在は最初のクルマを手にした時から少なからず意識を持ち続けていました。
これは筆者にもこの感覚の記憶があるのですが、輸入車への憧れこそあるものの、いざそれを手にいれることにはまるで現実味がなく、興味があるもののあえてそれを遠のかせていたものでした。今となっては単なる思い込みであるののを自らを嘲笑していましますが、オーナー様もおそらくはこのような心境であったのでしょう。

そんな輸入車に対するオーナー様の意識改革と言える初の輸入車はバーキン7でした。
クルマとしてはかなり尖っているのが奏功したのか、ハーレーにも乗っていたことの相乗効果もあり、すっかり輸入車に浸る日々を過ごすことに。
そこからはアルファ147→フィアット・チンクチェント・アバルト→595アバルトへと進んでいきます。
バイクもドゥカティとイタリア車であり、、、ここでA112へと心を駆り立てることになるクルマに対する気づきが生まれました。
自分が好きなのはコンパクトで少ないパワーを使い切ってキビキビと走るクルマであること、そしてアバルトのサソリの毒に侵されていること、ビアンキにたどり着いたのは、自身の趣向の言語化とも言えるのでしょう。

魅力はとの問いにオーナー様はいたってシンプルな答えが返ってきました。
現代にないスタイルとアバルトによるチューニングがなされたエンジンフィールだと。これはスペックや数値のロジカルな面ではなく、感性と感覚に響きわたることへの表れと取りました。そのデザインは小さくともアバルトのスピリットを主張する姿にあり、そこにアバルト・マジックによる心臓部がある故羊の皮を被った、、、とはせず、熱き思いを全身で放ちまくっている姿にいまだ魅了され続けています。

これは余談ですが、オーナー様の奥様の誕生星座も「さそり座」だそう。
どれほど毒されているのかと微笑ましく語るオーナー様、解毒する必要はなさそうです。

これほど愛情を注いできたビアンキを何故手放すのか、これには前オーナーから引き継いだ時に自らに約したことがその理由につながります。
前述したように前オーナーがかなりの手間とコストをかけコンディションを維持されてきた個体、購入の決め手もそこにありました。
ただ眺めているだけでいい、と言うのもクルマを愛でるひとつのあり方、しかしオーナー様は、しっかり動くこと、本来のアバルトの走りを存分に味わうこと、いわゆる完全な動態保存をしていく事を決めていたのです。
それでも毎日の通勤、普段のアシとして使うことは意に沿わないことから、それを差し引くと乗る時間は限られてしまう、物理的な理由がそこにあります。手放すことは愛情の薄まりではなく、走らせてあげられないことに代々のオーナーたちへの申し訳なさもあり、この決断に至りました。

最後に筆者が受けた印象を記して、この記事を結びます。
乗り込んだ瞬間に感じるのはそのコンパクトさ、しかし窮屈な印象を感じないのは、実用性を忘れていないビアンキの思想を感じるところ。ダッシュ周りや内張りに傷みがないのが、その造形を際立たせています。
キーを捻ってはすぐに目覚めるアバルトチューンドエンジンは、アクセルを踏む、シフトをする、ステアリングを切る、アクションのたびそれはダイレクトに、俊敏に呼応を感じます。マフラーからの音量がジェントルな分、エンジンの音がよく聴こえてきます。回転フィールが心地よいと感じるのは、アバルトマジックを感覚と肌で感じている表れであり、軽やかさからくる切れ味のよさが、絶対的なスピードや圧倒的な加速力とは別次元の体感をもたらしてくれる、言うなれば五感を刺激してくる乗り味を伝えてきました。

ホットハッチ、ベビーギャング、やんちゃ、このビアンキを形容するのに、こんな言葉を思い浮かべました。
カルロ・アバルト直伝のビアンキは現在長野県を居にしています。
長野県だと冬には雪が、好ましくない融雪剤による影響を心配する向きもありますが、この5年間オーナー様は雪の日、雨の日は一切走らせていないそうですので、ご安心を。

 

とても大切にされてきた「アウトビアンキA112アバルト」は現在長野県東信地域にあります。

個人間売買のため、消費税や諸費用等はかかりません。
本車両は購入に際しては、自動車税の月割り精算並びに、リサイクル預託金(10,100円)のご負担をお願いいたします。

【お問い合わせに際して】
このページの車両は、クルマの個人売買情報サイト「エンスーの杜」に掲載されたものです。
エンスーの杜は自動車販売店では無く、広告代理店であり掲載車両は個人所有の物で、オーナー様のご依頼により取材を行ったものをFOR SALEとして掲載しています。
過去の整備記録や修理歴など含めて現オーナー様が把握している範囲でのコメントと事故歴の有無含めて取材しております。
この中にはオーナー様が知り得ない事柄もあり、またエンスーの杜でその裏付けをとったものではないため、コンディションや走行状況も担当者の主観によるものです。
本記事は2025年4月29日現在の状態を掲載しております。それから時間の経過とともに写真や記事の内容に変化が生じる場合がございますことをご承知おきください。

掲載車両に関してのご質問や現車確認のお申込はこのページの一番下よりご連絡下さい。なお個人間での取引となりますので、冷やかし防止のため、現車確認はあくまで「購入を前提」として検討されているお客様のみとさせて頂きます。

以上の記事内容は、オーナーさんのコメントをもとに作成したものです。
整備履歴、修復歴などに関しては、エンスーの杜で裏づけを取ったものではありません。
198万円
画像クリックで拡大出来ます
ホットハッチの始祖的な存在 
可愛らしさの中に本気のスポーツ性能を秘める 
車重はわずか700kgほど 
全長3268mm 現代ではかなりコンパクト 
鮮やかなイタリアンレッドが青空に映える 
大物食いな面構え 
ABARTHを誇るかのようなリアビュー 
ヘッドライトはハロゲンにて明るさを確保 
ガーニッシュに割れはなし 
オーバーフェンダーによる張り出し具合がよりスポーティな印象に 
ミラーはスポーティなイタ車らしいものに 
色褪せのないボンネットには70hpの誇らしげなエンブレム 
樹脂パーツも傷みは見られない 
ワンオフのホイールにはサソリのセンターキャップ 
オーバーフェンダーに塗装の剥げが見られる 
タイヤサイズは前後とも165/60-13 山は十分 
Cピラーのデザインも特徴的 
ルーフにも色褪せはなし 
ジャッキポイントもしっかりしている 
サイドシルもサビは見られない 
材質の違うのは補強パーツであろうか 
ワンオフ作製のステンマフラーの音量はジェントル 
オイルパンには多少のオイル滲みあり 
アーム類にも傷みはない 
シャーシの状態も良好 
ドア下にもサビはない 
傷みもなく清潔感のある車内環境 
シートはレカロLS-M インディーカラー 
イタ車の内装で懸念のベタつきは皆無 
装備されているレーダー探知機、ドラレコは外さずにこのままお付けする 
オーディオにカバーすることでラインを崩さないようなデザイン 
赤いシートベルトが走りをイメージを掻き立てる 
ウィンドウハンドルひとつとっても、しっかりデザインされている 
大きめのアルミペダルはスリップしにくい仕様 
ステアリングはノーマルあり 
角形のメーターが特徴的 
シフトノブはアルミ製 フィールもよいそう 
パッドで覆われていない金属部が内装の良いアクセントになっている 
白っぽく見えるのは光の加減によるもので状態は良好 
リアシートのベルトもしっかりと赤 
「アバルトマジック」がかけられたエンジンは軽快に回る 
オイルキャップにもABARTHの文字 
前ヒンジのフードの開き方も味わいがある 
トノカバーもしっかりている 
ゲートのダンパーもしっかり効いている 
テンパーではないスペアタイヤ 
割れやすいプラネジも交換済み 
生まれはおしゃれで実用的なコンパクトカー 
そこに注入された走りと楽しさの毒 
可愛らしさの中にある本気がまさにアバルトマジック 


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TEL/090−1657−4692(イケダ)

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enthu2nagano@gmail.com

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