1947年、VWタイプ1を海外で初めて販売するため、オランダ人のベン・ポンがウォルスブルグ工場を視察に訪れました。そのとき工場内でパーツを運ぶ用途で使われていた荷台を取り付けられたユティリティビークルを見て感心したそうです。なんとかこのユティリティビークルを活用できないだろうかと思い、ベン・ポンはVW社に対し「タイプ1のシャーシをベースにして汎用型の貨客両用車を作れないか」提案します。そして生まれたのがVWタイプ2です。
1950年、いよいよVWタイプ2の生産が開始されます。当初はパネルバンのみの生産でしたが、同年にセカンドシート/サードシートの取りはずしが簡単に行え、乗用とカーゴユースを兼用できる「コンビ」とフィックス・セカンドシート/サードシートを持つ乗用モデルである「マイクロバス」が登場します。
1951年、マイクロバスのデラックスバージョンとして登場したのが通称「サンバ」。ウインドウの数が多いのが特徴で左右のルーフパネルには4箇所ずつのスカイライトウインドウとキャンバス地のスライディングルーフが設けられていました。初期のサンババスはサイドからリヤにかけてカーブドガラスを使ったリヤコーナーウインドウが装着され、「23ウインドウ」とも呼ばれていました。
その後「21ウインドウ」というリヤコーナーウインドウが廃止されたモデルも登場します。
この後もVWタイプ2の歴史は長く続くのですが、今回ご紹介する車両と離れていきますのでこの辺で中断させていただきます。
さて、今回ご紹介します車両はチェストナットブラウンとシーリングワックスレッドという純正色のコンビネーションが美しい1956年モデルの「サンバ」です。
1956年といえばタイプ2に大きな変化があった年でした。前年までのバーンドアが廃止となり、リヤにテールゲートが新設、ホイールが16インチから15インチへ変更、ルーフ周りのデザインが変わり、ベンチレーションダクトの新設、そしてダッシュパネルのデザインも一新された年です。
そしてもうひとつ大きな変化がタイプ2に起こります。それは生産工場の移転です。従来のウォルスブルグからハノーバーへ変わることになります。ここで少し面白いことが発生します。それは1956年の3月から4月の約1ヶ月間、ウォルスブルグとハノーバーの両工場からラインオフされる車両が同じ年式で同月でありながら細かいディテールに様々な違いが見られることです。世界にはそういった車両が何台かあるそうです。
残念ながらこの車両は1956年1月生産モデルですが、ウォルスブルグ工場生産の最後の年のモデルということは確かな事実です。
今回のVWタイプ2は約10年前に業者を通じてアメリカのワシントン州にあった個体を輸入されます。輸入後、仙台にあるVWでは有名なレストアショップに持ち込みます。レストアが終わった段階で新規登録を考えていましたが、途中でレストアを終わらなければならない事情となり、現在はコツコツとご自身でレストアをしています。
しかし、色々な諸事情が重なり手放すことに、エンスーの杜への売却依頼となりました。
できれば引き続きレストアがお任せできる方にお譲りしたいとオーナーさんは願っていらっしゃいます。
車両の現在の状態は塗装・窓・ドアシール・窓ゴム関連は完了しています。あとはシートの固定・内張り貼り付け・ハンドル・ABCペダルの設置・ランプ類取り付けが必要です。
部品はすべて揃っております。
また、エンジン・ミッション・足回りも一通り整備が必要だと思います。
お世話になっているショップでは後50万ぐらいかければ新規登録まで終わるそうです。
通関証明書とアメリカの登録書類はあります。
現オーナーさんは若い頃からVWフリークの方で数台のVWを乗り継いでこられたそうで、現在もシングルナンバーのビートルを所有されています。
車は愛知県にあります。
個人売買の為、消費税などかかりません。