タイプ1をベースとし73年まで生産が行われたロングセラーであるカルマンギア、この間にも排気量の拡大やデザインなど、年式により様々な改良が加えられてきました。
中でも50年代角テールと呼ばれるモデルは台数も少なく、カルマンに強いヴィンテージ性を求めるユーザーにとって高い人気を持つ存在と聞いています。
ご紹介の角テールカルマンは59年式、ボディタイプはカブリオレです。
アメリカより輸入されたもので、国内の初年度登録は昭和62年9月です。
オーナーさんは平成19年3月、VWを多く取り扱うショップより購入されました。
車高を低め、エンジンにも手を入れた、いわゆるキャルルックです。 アメリカにてレストアを行っていると聞いており、その外観からはキレイなコンディションが見て取れます。
アメリカで行われたもののためレストアの詳細は定かではありませんが、把握している範囲では、ボディとシャーシをはがす、言わばフレームアップされた作業を施しているそうです。 シャーシは傷みがあったのでしょうか、オリジナルから状態の良い66年製のものに換装しているようです。 車検証には製作年月日として昭和41年とうたってあります。 またオリジナルでは1200ccのエンジンも1300ccに換装してあり、こちらも車検証には1300ccと明記されていますが、チューニング度合いなどのスペックは把握しておりません。
購入後にもオーナーさんの趣向を反映させた若干のモディファイが加わって、現在は欠品パーツのないコンディションに至っています。
モナコブルーの外装はツヤもあり非常にキレイな印象です。 リペイントされている元色もおそらく同じと見受けられました。 細かく見ると左ドアと左前のフェンダーに線状の塗装の割れが確認されましたが、その他サビや腐りなどの傷みの類は見られませんでした。 ジャッキポイントもしっかりしています。 メッキパーツにもサビやくすみはなく、輝きは失われていません。
幌は傷みが見られました。 外側は一部ホツレ、内側に至っては幌をかけた状態で垂れてしまう箇所があります。 ただせっかくのオープンなので、とオーナーさんはそのほとんどを開けた状態でいます。
保管はシャッター付きの屋内です。
白を基調とした内装にこだわりのアイテムがあります。 元々スタイルに特徴のあるステアリングはビートルと共通のものから、この年代のみカルマンギア専用のものが装備され、オリジナリティが感じられるアイテムです。 インパネを見ると、これまた珍しい時計となっている事の多いところにはタコメーターが備わっていました。 助手席側にあるクラブハンドルも当初年式違いのものが付いていましたが、オリジナルのものに戻しました。 全体的にはキレイな内装も部分的に若干のヤレを感じます。 シートに破れはありませんが、生地の色の関係からか使用による汚れが見られました。 購入時からとの事でしたが、助手席側のシートバックに浮きがある状態です。 またドアの内張りには一部はがれてしまった部分があります。 フロアに腐りはなく、しっかりしていました。 この辺りはフレームアップしているのでキチンと手が入っているのでしょう。
エンジンはこれまでノントラブル、よってメンテは基本的なもののみで大きな修理履歴はありません。 現在も好調を維持しています。 前述のように1300ccへと変更されているのは分かりますが、外観からキャブはツインになっている以外、その内容を推し量るアイテムはありません。
場合によるとチューニングが行われている可能性もありますが、スペックなど詳細は不明です。
足回りはショックをコニーに変更、フロントにはサスペンションアジャスターキットを組み込んでおり、これにより車高の上げ下げが容易に出来ます。 ホイールはポルシェ356のレプリカです。 タイヤの山は充分ですので、交換の必要はありません。
電装系ではオリジナルの6Vから12Vへ変換しています。 よってオリジナルのラジオは聞けません。 オーディオは別に装備しています。
距離は32900kmを示していますが、根拠となるものがありませんので、不明と致します。
また修復暦は現オーナーさんに限ってはありませんが、以前のものは不明です。
ヒーターの効きは問題なしです。
リサイクル券(11,200円)と自動車税の月割りはご負担をお願い致します。
乗り継いできたVWに魅力を感じたオーナーさんが選択したのがこの角テールモデルのカルマンでした。 アメ車にも通ずる雰囲気で、内外装のカラーコンビネーションによりキャルルックが映えます。 常にオープンで使用しており、これまで走りと雰囲気を楽しんできました。 その走りを体感すべく、近所を流していただきました。 エンジンは好調さが感じられます。 完全に暖まるまでに若干の時間を要しましたが、独特なビートを響かせながらフラット4はスムースに吹け上がります。 この時期でもキャブがかぶるような事ありませんでしたが、聞けば冬用のセッティングがされているようで、夏場はいくらかかぶり気味になるそうです。 この辺りは季節に合わせたセッティングをされると良いかも知れません。 エンジンのスペックは定かではありませんが、体感的にはチューニングがされているかもしれないとの事で、そんなのをイメージしながら走るのも楽しいでしょう。 ローダウンがされているため乗り心地は少しばかり跳ねる感覚ですが、個人差はあれ不快に感じる事はなく、車高をノーマルに戻せば跳ねないとの事でしたが、これも味のうちと言ったところです。 そんな乗り味もさることながら何よりオーナーさんが惹かれたのは、この年式にあります。18年間の生産期間の中で存在する、それぞれのアイテムやスタイルにおいて、この角テールにこそオーナーさんの求めるカルマンギアの姿がある、そんな印象を強く受けました。
実車は群馬県にあります。
【更新】
新たに車検を取得致しました。
傷みのあったマフラーは新品交換しています。
またドア内張りのはがれも補修して問題ありません。
幌の内側もたるみを補修しました。