ベビーロールスとも呼ばれるコンパクトながらも上級装備を誇る通称バンプラです。
メッキを多用した外装、ウォールナットをふんだんに使用し、本革シートにピクニックテーブルまで備える、まさにプリンセスの名に恥じない小さな高級車です。
69年式のこのバンプラ、当時のキャピタル企業によるデリバリーだそうで、国内登録は昭和44年です。 初代オーナーは有名カメラマンの方だそうで、現オーナーさんで3代目のようです。 現在はキッチリとレストアが施され、上々なコンディションを見せています。
オーナーさんはかねてからバンプラを熱望し、ご友人の実家にあったこのクルマを譲り受けました。ようやく手にしたバンプラでしたが、やはり経年によるヤレが出始めており、購入直後に一念発起、レストアに踏み切ります。 それが約10年前のお話です。
まず手をかけたのは外装です。
ドンガラの状態にしてサビなどを補修、オールペイントです。 外せるものは全て外しての塗装工程を踏んでいます。 ボディカラーはシャーウッドグリーン、10年経過した現在もコンディションはしっかり保たれています。 とてもキレイな状態、キズはもちろん、サビなど傷みはまるで見られません。 ツヤも申し分ない状態です。 バンプラのポイントとなるメッキパーツもピカピカに輝いていました。 バンパーは再メッキを施し、それを止めるボルトに至っては新品に換えています。 テールランプも新品交換、前後のウィンドウシールドも交換しています。 雨天未使用、屋内にて大事に保管しています。
外装にかけたコストは約60万円で、当時ミニやバンプラを多く手がけたショップで行っています。
内装もしっかり仕上げました。 平成15年に施工しています。
手がけたのは内装のレストアではつとに有名なショップです。 シートを始めカーペット、天井、ドア内張り、ハンドル、ウッドパネルに至るまで手を入れていないところはありません。 カラーはシャンパンベージュ、シートなどの革はコノリーから取り寄せ、当時と同じ生地を使用しています。
ピクニックテーブルにおいてはヤマハ楽器に施工を依頼、ピアノの塗装技術を活かしたレストアを行いました。 インパネとドアのウッドはアッセンブリー新品交換です。 仕上がりから約6年が経過した現在も状態は良好です。 シートはシワやヒビは全く現れていません。 ウッドパネルもヒビはなく、ツヤはしっかり保たれています。 バンプラの特徴でもあるピクニックテーブルはさすがの仕上がり、こちらも状態、機能とも全く問題ありません。
尚、内装は230万円と相当なコストをかけています。
内外装をここまで仕上げれば、機関にも手を抜くわけにはいきません。
エンジン、ミッション、足回りは平成16年にOHを施しています。
【エンジン】
エンジン洗浄、OH
ピストン交換(オメガ製)
親子メタル交換
カムシャフト交換
タイミングチェーン交換(ダブルチェーン)
オイルポンプ交換
クランク・コンロッド バランス取り
フライホイール軽量 バランス取り
バルブガイド交換
バルブ、バルブステムトップ、バルブシート研磨
ヘッド修正面研
キャブ マニホールド交換(SU11/4)
特注マフラー
【ミッション デフ】
ベアリング類交換
シンクロリング交換
レイシャフト レイギア交換
アイドラーギア交換
デフケース交換
デフ、プライマリーギア、ギアチェンジリンケージ 各ブッシュ交換
クラッチ点検
フライホイールハウジング交換(中古)
レリーズプランジャー・フォーク交換
クラッチレリーズシリンダーOH
ステアリングラックブッシュ、ブーツ交換
【足回り】
Fドライブシャフト交換(中古)
FR左右ハブベアリング交換
FRキャリパーOH
F右キャリパーピストン交換(中古)
R左右ホイールシリンダー・ブレーキシュー交換
ブレーキサーボ追加装着
現在も不具合なく機関は好調です。 エンジンもノントラブル、ハイドロの足回りも問題ありません。 機関はミニのスペシャルショップに持ち込み作業を行っています。 こちらのコストは約160万円です。
クーラーは2年前に新たに装着しました。 効きも良いそうです。
ホイールとホイールキャップも新品交換しています。
タイヤの山も十分で交換は不要です。
ラジオはオリジナルですが、マイナスアースへと変更したため使用できません。
フロントバッジは塗装に剥げがありますが、もうひとつ状態の良いものがありますので、お付け致します。 当時のカタログもあります。
リサイクル券(11180円)と自動車税の月割りはご負担をお願い致します。
レストアに要した費用は諸々含めゆうに500万円を超えています。 購入当初はヤレが出始めていたそうで、完璧を求めた結果、コンクールコンディション並に仕上がったと言っても過言ではないと思います。 譲り受けた以上は使命感を持ってレストアをしたそうで、バンプラへのオーナーさんの思い入れは相当なものとお見受けしました。 走りはロングストロークの粘りのある特性で乗りやすく、ハイドロの乗り心地も大変良いもので、現代のクルマにはない乗り味をしっかり享受できます。 時間とコストをかけ、これまで大事にしてきましたが、最近では乗る機会がすっかり減ってしまったため、このコンディションを引き継いで頂ける方への思いから売却の意向となりました。
キチンと手の入った好調なエンジンと新車をもイメージさせられる内外装とともに当時の雰囲気に浸るには絶好のコンディションのバンプラです。
実車は東京都東久留米市にあります。