エンスーの杜    トップページに戻る   車両一覧に戻る



A型 フォード 2ドア セダン
1930
年式
車検
27年8月
走行
不明
備考
3MT 希望車種によっては交換も可
長さ
3800mm
1700mm
高さ
1850mm
重量
1120kg
排気量
3280cc
取材日2011年1月22日

アメリカの自動車王であるヘンリーフォードが生み出した工業製品の大量生産量方式、そこから生まれたT型はまさにその代表格でした。 しかし、ライバル車の台頭もあり、すでに時代遅れとなりつつあったT型に変わり1927年新たに投入されたのがA型でした。 2800ccのSV型4気筒エンジンにH型3速ギヤーボックス、4輪ドラムブレーキを装備、T型に見られた特殊な運転方法や貧弱なブレーキやサス等を改め、ライバル車並みの装備と質実剛健性を売りに、T型の15年間のギャップを奪還、再びアメリカの自動社業界の大ヒット車となりました。 ボディスタイルも多彩、2ドア&4ドアセダン・オープン・フェートン・バス・トラックとバリーエーションを拡大、1930年には、ラジエーター・ブレーキ等を拡大・電装システム等も改良され、排気量も3300ccに拡大され、5.5インチタイヤの堂々たるスタイルのアメリカンパブリックカーとして君臨します。

この頃には、警察や種々の公用車として使われる一方、様々なシーンの登場、ビッグボスはデューゼンバーグ、若手ギャングはA型フォードを駆ってのエネミーカーチェイスは、映画「アンタッチャブル」や「ジョン・デリンジャー」でお馴染みの代表的ローリングトゥエンティーカーとなり、今尚アメリカには多くのA型マニアがいると聞きます。

また、この手のギャング映画には、通常フォードトラックベースのレプリカが使用されるようですが、アップシーン等にはホンモノが登場する事もあるそうで、アメリカの狂騒の20年代をこのA型にイメージする方も多いことでしょう。 

そんな背景を持つA型ですが、果たして現代においていかなる存在を示すのか、これからご紹介するA型は街乗り、実用と言う明らかに想像に反するものに、あえてチャレンジしたオーナーさんの意欲あふれる作品と言うべき仕上がりを持ちます。
 
年式は30年のフォード製、エンジンにはトルクフルな3300ccの4気筒SV型を備えます。 
昭和末期にクラシックカーマニアのご友人が輸入しナンバーを取得、しかし所詮は80年も前の6ボルト電装のオリジナルでは走行は苦しく、邸宅のガレージにて20年程眠っていたのを約2年前に譲り受けました。 そこから実用たるA型へのチャレンジが始まります。 

実用に向けるべくまずは車検と言う壁を乗り越えなければなりません。 そこで行われた改善箇所は工夫の山と言うべきものです。 それぞれの箇所を見ていきましょう。

【エンジン】
キャブOH 後期型キャブに換装(高効率のB型のものを使用)
燃料パイプ交換
ガスタンクコック・ミストフィルター増設
デスビを自動進角タイプに換装
B型プラグアダプターに改造(A型プラグをベースとしながらも現代のプラグが使用できる)
高効率ラジエターコアに変更(外形は変えず)
ウォーターポンプの効率化(プーリー小径化により回転数を1.5倍として冷却性能をアップ)
ウォーターホースを高圧タイプに変更
リザーブタンクを増設(旧型フォード製)
国産吸収型マフラー増設(排ガス基準クリア)

これらの改造によりユーザー車検を合格、ナンバー取得に至りました。 冷却性能、メンテナンス性を向上させる事で、現在は真夏の市街地走行も難なくこなせるコンディションだそうです。

【電装】
12ボルト ICオルタネーター換装
キルスイッチ付き12ボルトバッテリーに換装
セルモーターを12ボルトに改造
セルスタータースイッチOH
日本製イグニッションコイルに換装(オリジナルケースを使用し中身のみ)
ラジエター温度表示灯新設(75℃、85℃で点灯)
ハロゲンヘッドランプに改造(オリジナルヘッドライトを使用)
センターハブ・コンビネーションスイッチ内部部品作製
バキュームタイプワイパーを電動ワイパーに変更
車幅灯・ウィンカー・テールランプ・リバースランプ等の増設(ヴィンテージハーレーパーツ使用)
シフトレバー連動のリバーススイッチ作製
ドア連動スイッチ付き室内灯新設
電流計修理
メーターパネルランプ新設

こちらも実用を主眼とした改造が行われました。 ヘッドライトは光量が上がり、夜間での走行も問題ないものとしています。 灯火類は車検をクリアすべく現代の保安装備でもありますが、なるべくオリジナルの雰囲気を壊さないようなパーツ、あるいは外形を変えず中身を変えるなどの工夫がなされています。 ドアを開ければ現代車のように室内灯が点きます。

【インテリア】
前後シート張替え(復刻版フォードオリジナルの新品生地にて ダークブラウン・コーデュロイクロス)
Fordマーク入りサイドステップ(復刻版新品)

【エクステリア】
ルーフレザー張替え(復刻版フォードオリジナル新品レザー)
クォーターパネルレザー風塗装
水温計付きフォードオリジナルラジエターマスコット(絶版アンティークモデル)
内外装とも傷みはなくキレイなオリジナルスタイルが保たれています。 外装は輸入される前にリペイントされているようですが、状態としてはサビもなく塗装の傷みを現われておりません。 ラジエターマスコットはかなりの希少品だそうで、不動、汚れているものでも相当な高値がつくものだそうです。 

内装も傷みはなく当時の雰囲気が再現されています。 シートはカバーで擦れを防いでおり、天井も垂れはありません。 

【その他】
ドラムブレーキシュー一部張替え

スペックは46Bhp/2000rpmだそうです。 が、これにはスペックだけでは量れない逸話があり、ガレージにてメンテを行っていた際に誤ってギアが入ってしまい、通常であればエンストとなるところアイドリング状態ながら前にあったシャッターに前進、そのままエンストする事なくシャッターを押し、クルマは無傷ながらシャッターが歪んでしまったそうです。 これにはこのエンジンのビッグトルクを知ったとともに驚きを隠せなかったことでしょう。 80km程度であれば巡航可能との事、現代の流れに全く問題なく乗れるそうです。 

パーツがいくつかありますので、こちらはお付け致します。
・純正セルモーター12V改造用 新品予備コイル 1セット
・フォードA・B型共用 12Vセルモーター 1個
・6V新品バッテリー(当時物復刻版) 1個
・フォード製A型純正新品デスビ
・コレクションガイドブック
・レストレーションマニュアルブック(絶版)

デスビは手動進角式ですので実用は大変ですが、見た目はムードフルな当時の絶版物だそうです。 日本では入手困難な珍品との事です。 マニュアルは辞書のごとく分厚く、かなり詳細に記されているものです。

個人のため消費税はかかりませんが、自動車税の月割りはご負担をお願い致します。

オーナーさんはトイガンデザイナーと言う職業柄、このシカゴギャング御用達車はそのスタイルにマッチしたもので、譲り受けるのも必然であったかのようです。 愛着がある分、手を掛ける事は楽しみでもあり、これら改造はそのほとんどをオーナーさん自らの手で行っています。 意欲作である事は間違いなく、クラシックカーのイベントにも関東圏は自走で参加したそうで、周囲を何度も驚かせた経験も持ちます。 その走りを少しの時間でしたが披露して頂きました。 アイドリングは止まっているかのごとく、とにかく静かであったのが第一の印象です。 3速でありながらトルクバンドが異常に広い特性のようで、意外や普通に走れる、実用に充分耐えうる様子が感じ取れました。 もちろんここまで来るにはクラシック故、困難も多いであろうと思いますが、あえて人が手を焼くクルマを自らの手で仕上げる、その工程で必ずや必要とされる推理と腕試し、その過程を楽しみとするのがオーナーさんの趣向です。 結果、季節や環境を問わず無事に走れる事で完成を見ると、また次にチャレンジしたいと言う意欲がわいてくるそうで、新たなチャレンジに向け次期クラシックに買い換えるため惜しみながらも売却の運びとなりました。 車検付き、このまますぐに乗り出せるコンディションを見れば、相当なコストと手間がかかっているのは想像に容易いA型フォード、実用できるビンテージクラシックをお求めの方に是非オススメしたい1台です。 


【更新事項】
オーナーさんは、今回買い替えのための売却ですが、希望車種とであれば交換も希望されています。
その車種は、カルマンギアまたはMGAフィクスドクーペですが、その他タイプの似た車種でもご相談頂ければ検討します。

【更新】
新たに車検を取得致しました。


実車は埼玉県さいたま市にあります。


以上の記事内容は、オーナーさんのコメントをもとに作成したものです。
整備履歴、修復歴などに関しては、エンスーの杜で裏づけを取ったものではありません。
 SOLD OUT
 
   
  フルカバーをしているシートも張替え済みで傷みはありません。
  シフトレバーの前にあるのはオーナーさんオリジナル製作のリバースランプ用のレバー。 こちらも言われなければオリジナルかのようです。
アクセルは右を支柱に足首を傾けて踏み込みます。 当時は悪路が多く単なる踏み込み式では一定しないためこのようなスタイルになったそうです。 一番上のボタンはセルスターター、足踏み式です。 こちらはチョークレバーです。 奥にあるのはインジケーター付きのヒューズボックス。
上の燃料計は油面が直接量を示します。 右の電圧計は現代のパーツを使い修理済み、オリジナルの針は味があります。 下はスピードメーター。 オリジナルかと見間違えるほどの操作表示板。 車検に必要なものでありながらもこちらもクルマの雰囲気を壊さないオーナーさんの工夫とアイディアが詰まったオリジナル製作。
ランプは水温が75℃、85℃で点灯します。 プレートは純正の新品に交換。
 
   
キレイな水温計付きのラジエターマスコットは希少品。 水温が上がると表示がされるしくみ。 現代的なアイテムのリザーバータンクも違和感ありません。 形状もしっかりマッチ。
ヘッドライトはオリジナルにバルブをハロゲンにしています。 オリジナルを維持しつつも光量は充分に確保。 タイヤは前オーナーが新品に交換したそう。
一見してレザーに見えるこちらは塗装によるものです。 アンダーコートをベースに加工することでこのような風合いに。
サスペンションは横置きリーフ。 クロスメンバーが前後に渡されています。  
  コイルは一見してオリジナルも中身は12Vの現代のもの。
コア増しされたラジエターには3枚から4枚に増えたファン、そして小径プーリーにより回転数を上げ、冷却システムを強化。 これにより水温を気にしないでいいA型フォードになりました。
デスビは自動進角で調整不要、プラグも改良を加え現代のものが装着可能。 エアダクトは延長し、下から冷たい空気を取り入れるようにしました。
   


この車両のお問い合わせは

エンスーの杜 埼玉支局
TEL/090−1657−4692(イケダ)

またはEメール↓にて
エンスーの杜車両問い合わせ


愛車無料査定 車保険 車売却 廃車引き取り
    エンスーの杜    トップページに戻る   車両一覧に戻る