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斉藤円華の「横入り自動車ライター血風録」・最終回
 
千秋楽! 日本カー・オブ・ザ・イヤー2008‐2009・発表会場に行きました
 
 11月11日に大磯プリンスホテルで行われた「日本カー・オブ・ザ・イヤー2008‐2009」の授賞式に行ってきました。
 今年は「環境」「エコ」への関心が特に高かった一年と言えるでしょう。そんな中、一体どのクルマがカー・オブ・ザ・イヤーに輝くのか? 大いに興味がありました。
 
−カー・オブ・ザ・イヤーはトヨタiQ!−
 受賞したのはこのクルマ! トヨタのコンパクトカー、iQです。全長3m弱(2985mm)はスバル360(2990mm)より5mm短い! 大人4人が無理なく乗れる空間を実現したとのことです。9エアバッグを装備し、安全にも配慮。排気量は1リッターで68馬力、燃費は10・15モード値で23km/L。
 チーフエンジニアの中嶋裕樹氏。誇らしげです。
 インポート・カー・オブ・ザ・イヤーはシトロエンC5。「独自のハイドラクティブ・サスペンションをはじめ、移動空間としての車の基本性能をまじめに追求した、ヨーロッパならではのセダン作り」が評価の理由。でもなんか、シトロエンらしい変ちくりんさ(?)は、大分薄まっているような・・・。
 日産GT−R。大本命だと思っていましたが「Most Advanced Technology」受賞に留まりました。めちゃくちゃ速い「ほぼレーシングカー」でありながら環境性能も重視した(エンジン全域で理論空燃比達成など)というGT−Rですが、得点はiQの半分以下、C5にも及びませんでした。
 スバル・エクシーガ。7人乗りのスポーツワゴンというコンセプトが受けて「Most Fun」受賞です。
 ホンダ・フリードは「Best Value」を受賞。うーん、どこかメルセデスのミニバンのような外観ですね。ベスト・バリューということで経済性が一番の売り。1.5リッター、7人乗り。
 受賞車両の獲得点数は、以下の通りです。
 ・ トヨタiQ 526点
 ・ シトロエンC5 223点
 ・ 日産GT−R 201点
 ・ ホンダ・フリード 62点
 ・ スバル・エクシーガ 31点
 
−本命逃すかGT−R−
 このように、iQに倍以上の点差をつけられてしまったGT−R。
 話題性十分かつ技術的にも申し分なく、(きっと)走っても楽しい(と思われる)エンスー車がカー・オブ・ザ・イヤーの栄冠を勝ち取れなかったのはなぜでしょうか。
 選考委員2氏に直撃取材してみました。
 以前本連載でもインタビューした、舘内端氏。「日本EVクラブ」の代表として電気自動車(EV)の普及にも努めています。
 「原油高や環境重視といった時代の流れが今回の選考にも反映されているんだと思いますね。資源希少という制約の中で、クルマはiQに象徴されるダウンサイジングの方向に行かざるを得ない。これは今後のクルマの流れです。
 iQがプリウスの次の世代を担う21世紀のクルマだとしたら、GT−Rはまさに20世紀のクルマの象徴でしょう。そこでは速度や馬力が価値とされますが、もはやそれだけでは立ち行かないことが明らかになったのだと思います」
  雑誌「NAVI」などで、クルマの運動性能に着目した鋭い批評を行う清水和夫氏
 「今まではクルマを小さくすると居住性能を犠牲にしなければいけないという面がありましたが、iQは小さいけれどガマンのいらない、良くできたクルマです。走行性能もしっかりしているし、モノづくりがきちっと出来ていますね。私はiQに持ち点10点を投票しました。
  一方GT−Rはというと、その真価は200km/h以上でないと測れないという側面があります。イヤーカーの指標だけでは評価しきれない、と私は思います。その意味で私は『Most Advanced Technology』に投票しました」
  GT−Rが究極の運動性能を獲得したハイスペックなクルマであるということに異論はないでしょう。しかし、交通渋滞や環境破壊、地球温暖化などといった社会要因は、クルマがただ高性能でありさえすればよいという状況を許さなくなっています。インタビューした2氏も、そうしたクルマを巡る厳しい現状を踏まえた上で今回の評価を下しているのでしょう。
 
−血風録的カー・オブ・ザ・イヤーはこのクルマ!−
 しかし、いかんせんiQがカー・オブ・ザ・イヤーとはいっても、このスタイリングはちょっと微妙ですよね。もう少し色気みたいなものも、あってよかったのでは?
 そこで! ここは勝手に独断で「血風録的カー・オブ・ザ・イヤー」を発表したいと思います。
 ドロドロドロ(ドラムロール)・・・
 ジャーン!
 「血風録的カー・オブ・ザ・イヤー2008−2009」はフィアット・ニューチンクエチェントに決定! パチパチパチ。
 オールド・チンクに比べればやや大柄ですが、このお洒落なスタイリングは思わず乗ってみたくなるフレンドリーさを備えています。見ていて自然と和むエクステリアデザインは、これからのクルマにとってのキーポイントでしょう。
 赤と黒のニューチンク。いいですね。
 ちなみにニューチンクの獲得点数は90点で、今回ノミネートされた11台の中では7位と、まずまず健闘しました。
 
−3年間のお付き合い、感謝!−
 さて、2005年11月からこの場をお借りして続けてまいりましたこの連載ですが、今回を持ちまして終了とさせていただきます。
 思えば3年前、右も左もわからぬまま「週末自動車ライター」なる肩書きをデッチ上げて始めたこの連載でしたが、エンスー車に関するいろいろな話題を取材することが出来ました。117クーペの鈑金レストア記やイベント取材、果てはグライダーの体験搭乗まで・・・。
 クルマのこれからについての、自動車評論家・舘内端氏へのインタビューは大変刺激的な時間でしたし、電気自動車天ぷら油で走るメルセデスといった次世代を担うエコカーについても意欲的に取り上げてきました。
 そして開始当時は会社員との二足の草鞋だったライター業も、いまや本業に。この連載がきっかけとなってお声をかけていただいた仕事もあります。3年前には思いもよらない変化でした。
 連載はこれで終わりですが、エンスーな話題がありましたら、随時「エンスーなNEWS」で紹介していきたいと思います。
 最後に、取材にご協力くださった関係各位の皆様、記事執筆のペースがなかなか一定しないのに辛抱強く原稿を待ってくださったエンスーの杜代表・金盛哲二氏、そしてこれまでお付き合いくださった全ての読者の皆様にお礼を申し上げます。
 3年間どうもありがとうございました!
 

[執筆者プロフィール]
斉藤 円華(さいとう・まどか)…横入り自動車ライター。この肩書きを名乗るのも、これが最後・・・(涙)。これからも雑誌・ウェブなどで旺盛に執筆活動を続けていきますので、引き続き応援のほど、よろしくお願いします。最新の掲載記事は私のブログでチェック!
※ブログ “mdk-on-line” http://mdk-on-line.jugem.jp/ ※更新を再開しました!
※ mixi(ミクシィ)にもプロフィールがあります。

 

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