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斉藤円華の「横入り自動車ライター血風録」・第25回
 
−連載ほぼ3年目突入記念−
キャンギャル! 東京モーターショー プレス公開
 
 
 モーターショーである。
 若者のクルマ離れ、原油高騰、加速する地球温暖化・・・。クルマをとりまく状況は楽観を許さない。いや、ぶっちゃけ、なかなかにキビシイ。
 そんな中での、第40回東京モーターショーなんである。
 メーカー各社は果たしてどんなビジョンを見せてくれるのか?
 10月24日のプレス公開を取材した。
 
−さて私事で恐縮ですが−
 2年前、この連載をはじめるにあたり、ひとつ心に決めたことがあった。
 「次のモーターショーはプレス(報道)で入るぞ!」
 プレス・・・この甘い響き(べつに甘くないか)。
 プレスパスを取得すれば、それをかざすだけで会場に自由に出入りできるのだ。何だかカッコイイじゃないか。そういう身分になりたいもんだと密やかに野望をもやして幾歳月(おおげさ)。
 今回晴れて念願かなった、というわけだ。
 
−コンセプトカー−
  クロスオーバーSUV、ヒュンダイ・カルマック。ポルシェのブースと隣同士なので、カイエンの次期モデルかと思いました(笑)。動物的な躍動感があります。ホイールのデザインがいいですね。
 メルセデスのサルーン、F700。ホイールベースが長い!
 ホンダのハイブリッドスポーツ、CR−Z。かつてのCR−Xに正統回帰したデザイン。
  今回はダイハツが面白い! 1ボックスSUV、マッドマスターC。
  横ががばっと開く。遊び道具の積み下ろしは楽そうですね。
  これはオープン軽のスタディモデル、OFC−1。次期コペン?! 第1デザイン部主査の山本さんにきいてみた。
 「いや、そういう訳ではないのですが(笑)。ただ、ダイハツのイメージリーダー、フラッグシップモデルとして作ったのは事実です」
 ――技術的な特徴は。
 「コペンは電動ルーフをたたむとトランクがいっぱいになってしまっていました。OFC−1は、トランクを広くしてルーフ格納時でも残り半分のスペースを使えるようにしています。あとは、グラスルーフを使用して開放感を演出しているところでしょうか」
 うーん、具体的に煮詰めているじゃないですか。コペンのモデルチェンジが楽しみです。

  昆虫みたいな四つ足バイク。




 ヤマハ、テッセラクト。乗ったら楽しそうですね。パワープラントはハイブリッドを採用。
 
−キャンギャル−
 なんだかんだ言っても、やっぱり外せませんキャンギャル。撮影点数は少ないですが、お楽しみくださいませ。
 スズキのブース。後ろはスイフトWRC 2007。   こちらはフォード。へそ出し! 後ろはエクスプローラー。
 フェラーリ。脚、長っ!   599と撮ってみました。
  ブース全景。フェラーリのキャンギャルは別格の美しさ。主役のクルマを食っています。欲望の提案の仕方があからさまで、個人的には大好きです。ドン・ミスイッ!(クリス・ペプラー風)
 
−スーパーカー−
今回のモーターショーはスポーツカー、とりわけスーパーカーが元気です。
  ランボルギーニ・レヴェントン。ワルそうなクルマです。
 ボンネットを開くとトランクが。  深くて広い! 実用的です。
  エクステリアほどはアヴァンギャルドではないコクピットのデザイン。
  ランボルギーニといえば、このV12ユニット。
  エンジンフードの形とか、ステルス戦闘機みたいなデザインです。ネズミ捕り対策・・・なわけないか。ちなみにお値段、税別100万ユーロ=約1億6千万円!
  ロータス・2−イレブン。公道もサーキットもこれ1台で!
 
−日産GT−R 記者発表−
 今回のショーの目玉は、やはりGT−Rだろう。
 7期ぶりの減益、販売目標達成の1年繰り延べなど、正念場のゴーン日産。
 GT−Rのワールドプレミア(世界初公開)、起死回生の切り札となるか?
  プレスラウンジではデザートなどが振舞われる。
  右側、名付けて「ショコラ GT−R」。写真ではつぶれて見えにくいですが、赤いソースでRが描かれています。
  GT−R、登場! 車内から現れるゴーン社長。   スピーチが始まりました。
 バックショット。ゴーン、吼える!   日産はGT−Rに賭けてるぜ!
  熱烈なプレゼンテーションのあとは、プレスキットを求めてゲストが殺到。
 
−環境技術−
 ダイハツOFC−1やスーパーカー、GT−Rなど、クルマを操る楽しさにクローズアップした出展が今回のトレンドだが、それと双璧をなすのが環境技術だ。
  マツダ・プレマシー ハイドロジェンREハイブリッド。燃料に水素とガソリンを併用。圧縮水素だけで200キロ走る。
 「燃料電池車に使う水素は99.999%という高純度な物でないとダメなんですが、この車両は70%程度でも大丈夫です。自己着火しやすい水素ガスはレシプロエンジンでは扱いが難しいのですが、ロータリーエンジンとは相性がいいのです」(広報の植月さん談)
 ――水素の供給源は、どのようなものを考えていますか。
 「製鉄所や苛性ソーダ工場からは副産物として水素ガスがでます。これまで大気中に捨てられていましたが、そうした副生水素ガスを燃料にすることも可能です」
 ある試算によれば(※)、副生水素の年間供給可能量は82万トン。燃料電池車500万台をゆうに走らせることが出来る量だ。
  トヨタの燃料電池車、FCHV。システムの効率化、タンクの高圧力化によって東京−大阪をノンストップで走破できる航続力をもつ。とはいえ月間リース料金は100万円。普及にはなお程遠い。
 ホンダ・シビック ハイブリッドレーサー。レースのホンダの面目躍如!?
  三菱・iMiEV SPORT。リチウムイオン電池を使用。


  コンセントから充電。「一晩充電すれば十分に走れます」



 各メーカー、得意分野ごとに技術を煮詰めている印象だ。あえて言うなら、水素なら供給インフラをどうするかとか、大きい視点での提案が見当らなかったのが心残り。自動車業界だけでなく他の業界や政府、NGOなどが連携してこういった場でビジョンを示せれば、次世代のクルマをもっと身近に感じられるのではないか。
 ※資源エネルギー庁資料 『2030年を見通した、燃料電池/水素エネルギー社会の展望』 2004年4月

 
−関連展示−
  トヨタ・エスティマのクラッシュ試験車両。   激しく壊れているが、乗員スペースは十分に保たれている。
  プレステ3ソフト「GT5」の体験コーナー。   みんな真剣です。
 
−トラックと野外展示−
  いすゞはフルレストアした初代エルフを展示。和みます。それにすばらしい仕上がり!
  「ディーラーの奈良いすゞのお客様が所有されていたのを引き取りました。最初はボロボロだったのですが、社内でプロジェクトチームを立ち上げてレストアしました」(広報談)
 後ヒンジのドア。   コクピット。
 シンプルなメーターパネル。
  ペーパーアーティスト、太田隆司さんの作品も展示。エルフ、ヒルマン、BX(ボンネットバス)・・・。まさに「ALWAYS 三丁目の夕日」の世界。11月3日から続編が封切りですが、やはり意識されたんですか?との質問には「いや、特にそういう訳では」との答えが。
 かたや未来のエルフ?! これは大型トラクタのデザインスタディ、FL−X。
  これはダンプのデザインスタディ。三菱ふそう・CANTER ECO−D。

  日野レンジャー、ダカール仕様。来年のダカールレース出走予定車両。




  精悍ですねえ。

  野外広場には試乗コーナーもある。これは消防車などを製造するモリタのブース。はしご車のゴンドラに体験搭乗!




  コントローラー。鉄人28号のやつみたいだ。

  結構、高いです。20秒で30メートルまで上がる。制振装置のおかげか、そんなに揺れません。




  人が小さく見えます。高所恐怖症の人にはつらいかも。
  テレビの取材でしょうか。表情がこわばっています。

  上昇開始! たまらず泣き顔に。  そして天高くのぼっていきました・・・
 他にもSUVの体験試乗コーナーなどがあるわけだが、全体を振り返って思うのは、ミニバンブームはほぼ終わりつつあるということ。メーカー各社はクルマの魅力をファン・トゥ・ドライブに振りつつあるようだ。エンスーとして、まずは喜ばしいことではある。会期は11月11日まで。
 
 第40回東京モーターショー2007 公式サイト:http://www.tokyo-motorshow.com/
 

[執筆者プロフィール]
斉藤 円華(さいとう・まどか)…横入り自動車ライター。おかげさまで連載、ほぼ3年目に突入です。これからもよろしくお願いします!
※ブログ “mdk-on-line” http://mdk-on-line.jugem.jp/
※ mixi(ミクシィ)にもプロフィールがあります。

【次回予告】
 自動車内張の張替え業者を取材予定。次回「職人芸! シート張替えの技を拝見」をお楽しみに。

 

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