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斉藤円華の「週末自動車ライター事始め」・第18回
 
赤レンガ! 横浜港にエンスー車艦隊が大集結!
 
 
−ィヨコハマ−
 
 横浜、それは近くて遠いオサレな街。
 「ハマっ子」という言葉があるが、埼玉出身東京在住の筆者にはどうにも気後れのする街だった。
 そりゃ、中華街や外人墓地、横浜港に一度は行ってみたいとは人並みには思っていた。
 けれど、なかなか訪れるきっかけがつかめないで今日まで来たのだ。
 僕なんかがのこのこ出かけてハマっ子に馬鹿にされたらどうしよう・・・、という意味不明なコンプレックスが、横浜から足を遠のかせていたのであった。
 しかし今回、エンスー車のランニングイベント「ジャパン・ヒストリックカー・ツアー2007」(同実行委員会、株式会社ネコパブリッシング共催)のゴールが横浜赤レンガ倉庫なのだと知った。
 取材にかこつけてィヨコハマ((C)横山剣)に行ける! 私の胸は高鳴った。
 
−工作船とクラゲ−

 5月20日(日曜日)。前日の雨で空気が洗われて、澄み切った青空が気持ちいい。
 自宅から首都高を快調に飛ばして、赤レンガ倉庫には10時に到着。
 観光地にありがちな渋滞にも遭わず、駐車場もまだまだ空いていた。早めに家を出た自分をほめてあげたくなった。
 屈折したあこがれの対象だった横浜。有名スポットがひしめくが、具体的な位置関係がわからない。さっそく辺りを散歩する。
 赤レンガ倉庫は港に面し、大桟橋と隣接。背後に横浜税関やランドマークタワーが控える。
 大型客船が接岸可能な大桟橋。
 横浜ベイブリッジ。
 強そうな巡視船。
 巡視船のとなりにある「工作船展示館」に入ってみる。2001年に東シナ海で沈んだ、北朝鮮の工作船が引き揚げられて展示されているのだ。巡視船の銃撃の跡や、搭載されていた武器の数々が当時の緊迫感を思い起こさせる。
 工作船。  対空機関銃。こんなものまで積んでいたとは。
 追跡するのも命がけなら、逃げる方も決死の覚悟だったのだな・・・。いささか深刻な気持ちになってしまった。それにしても、果たしてこんなテンションで今日の取材が出来るのか。
 しかし波間にただようクラゲを眺めていたら、何だか癒されてしまった。恐るべしクラゲパワー。
 
−相乗効果−
 サクッと気持ちを切り替えて、赤レンガ倉庫前広場に戻る。ギャラリーも徐々に集まりはじめた。
 光岡オロチ。キワモノ系のフロントデザインだが、違和感はない。なかなかかっこいい。
 ボッシュのブースではクリーンディーゼル車が展示されているのだが、その車両は驚いたことにアルファロメオだ。スポーツクーペにディーゼルエンジンの組み合わせは意外な印象だが、ヨーロッパでは普及がはじまっているようだ。この車両はPRのための参考輸入車で、国内販売の予定はない。
 ディーゼル仕様のアルファGT。6速MT、排気量1,910cc、150馬力、総合燃費11.5km(EU規格)。
 低燃費で排ガスもきれい、ディーゼル特有の振動や騒音も改善されているとあれば、ガソリン価格の高騰している昨今、需要はかならずあると思うのだが。ぜひとも正式輸入してほしい。
 その展示車両のとなりで、電動キックボードに乗った子供を発見。さっそく子供から奪い取って、というのはもちろんうそで、順番を待って試乗させてもらうと、何と動力は電動ドライバー。アクセルレバーを軽く引くだけでぐいぐいと加速する。広いところでないとこわくて乗れないが、楽しい乗り物だ。
 「業務用電動ドライバーのパワフルさをアピールするために、ドイツ本国にてワンオフで作られました(筆者注:ボッシュはドイツの会社)。なお市販の予定はありません(笑)」(ボッシュの藤田さん談)
 そうこうしているうちに「ジャパン・ヒストリックカー・ツアー2007」の参加車両が会場に到着し始めた。山梨から出発して3日間、750キロを走破したエンスー車がステージでフィニッシュを受ける、イベントのクライマックスだ。車両はどれもすばらしいコンディションで、赤レンガ倉庫をバックにゴールする様子はまさに華やかの一言。とくとご覧いただきたい。


 ドライバーとナビの表情もうれしさでいっぱいだ。完走した充実感が伝わってくる。途中にわか雨にも見舞われたとのことで、オープンカーのクルーの方々は大変だったろう。
このあと車両は広場に整列するのだが、重厚な赤レンガ倉庫とエンスー車はとても相性がよい。その日本離れした光景に、ギャラリーもただただ溜め息をもらすのみだ。

   モーガン・プラス8。行李と共締めされている傘がオシャレ。
 ゼッケンナンバー001、1934年製シンガー9 ル・マンで完走した斉藤和實さんに話を聞いてみた。
 ――完走おめでとうございます。
 「ありがとうございます。この車は3年前に入手しました。ミシンの製造で有名な英国シンガー財閥が、ル・マン出場のためのホモロゲーションモデルとしてつくったもので、好成績をおさめました」
 ――維持に当って苦労されたのは。
 「現代の道路を走れるように仕上げることです。元々レース仕様なので、公道を走りやすいようにギア比を変えたりしました」
 ――風格のあるグリルですね。
 「シンガーはアストンマーチンにもエンジンを供給していた由緒あるメーカーです。ヨーロッパの貴族や金持ちが趣味、道楽で始めたのがカーレースです。ヨーロッパの車には、デザインや佇まいに風格や文化を感じますね」
 伝統あるヨーロッパの自動車文化と赤レンガ倉庫。その相乗効果が、すばらしいエンスー車体験をもたらした。エンスー車趣味は今回も奥が深かった。
 

[執筆者プロフィール]
斉藤 円華(さいとう・まどか)…週末自動車ライター。愛車117クーペの積算走行計が、もうじき二周りしそうです。フルレストアしたいけど、お金が・・・。
※ブログ “mdk-on-line” http://mdk-on-line.jugem.jp/
※ mixi(ミクシィ)にもプロフィールがあります。

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