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斉藤円華の「週末自動車ライター事始め」・第15回
 
悪戦苦闘から1年 −117クーペ・鈑金作業その後−
 
 
 読者のみなさま、大変おそくなりましたが、明けましておめでとうございます(遅すぎ?)。
 今からちょうど一年前、私は愛車の117クーペの鈑金作業に取り組んでいた。
 詳細は連載4回および6回をご覧いただければ幸いだが、寒空の下で錆を落としてパテを盛ったはいいものの、安野鈑金さんの作業ブースをお借りしての塗装作業ではシンナーの種類を間違えて混ぜ、吹き付け面が梨地のようになるという大失敗をおかしたのだ。そこでクリアーの厚塗りでごまかそうとしたが、今度はたれてしまう・・・。えらいことになった。
 すっかり気力の萎えてしまった私だが、それでもひまを見つけては耐水ペーパーを当てるなど、細々と手は入れていた。だがタレの跡はいくら研いでもなくならず、ついにクリアー面はおろか塗料まで削り、部分的にパテがうっすら透けて見えるという事態に至った。
 あがけばあがくほど深みにはまっていく・・・。
 取材やドライブで多少走らせる他はほとんど手を掛けず、次第にクルマから気持ちが離れてしまったのが最近の実情だ。
  すっかり埃まみれになってしまった117クーペ。
  雨が降った後なのでとても汚い。
  ワイパーにもホコリがたまっている。
 しかし、いくら何でもそれでは週末自動車ライターの名がすたるというもの。塗装の抜本的な改善には金やら時間がかかるので、とりあえずはカーケアの基本の基本、車洗いをすることにした。(このヘタレ具合・・・)
 
 
−グリオズ見参−
 
 カーケアグッズは世に数多あるが、ここはエンスーらしくこだわってみよう。「グリオズ・ガレージ」は、クルマ好きの間ではつとに有名な、米シアトルに本拠を置くカーケア製品ブランドだ。品質の高さで知られるがやや高価なのと、2004年12月にグリオズ・ガレージ・ジャパンが営業を終了したので、今や国内では自動車グッズのショップ「ル・ガラージュ」でしか手に入らないのがエンスー心をくすぐる。
 こんかい用意したのは「CAR WASH(カー・ウォッシュ)」と「FINE HAND POLISH(ファイン・ハンド・ポリッシュ)」。汚れを大雑把に落とすのが目的だ。まずカー・ウォッシュで、露天駐車でホコリまみれの車体を洗う。
  グリオズ・ガレージ製品群。真ん中がカー・ウォッシュ、473ml入りで1,680円。左がベスト・ショウ・ワックス、本格的なワックス作業に用いる。右はスプレイ・オン・ワックス、手っ取り早く光沢がほしいときに使う。
 さて青空駐車でボディカバーがないと、どうしても水アカ汚れがついてしまう。これはカー・ウォッシュでも落ちない。まして私の117のように塗面処理が中途半端な場合はなおさらだ。こんな時はファイン・ハンド・ポリッシュの出番だ。
   頑固な水アカ汚れ。
   ファイン・ハンド・ポリッシュ、273ml入りで1,575円。スポンジは本来はワックス用だ(2個で1,260円)。
   使用後。汚れが落ちた上に、光沢も出てきた。

 今年の冬は暖冬だが、それでも今の時期の洗車作業は寒さとのたたかいだ。黙々とポリッシュをかけていくと、汚れていたクルマが輝きを取り戻していくのが唯一の励みである。
 ワックスまでは手が回らず、とりあえずスプレイ・オン・ワックスで光沢を出すにとどめておく。
 
 
−早くも錆が−
 
 洗車作業日は夕方で曇りだったので、翌朝を待ってボディの状況を確認する。
 水が溜まりやすいボンネットの先端。ここは鈑金作業を行った部分のひとつだ。
 ああ、やっぱり。覚悟はしていたが、早くも塗装がぽこぽこと膨らみはじめている。パテの下で新たな錆が成長をはじめているのだ。割れて赤錆が顔を出すまで1年、いやもって半年か。
  塗装がふくらみはじめたボンネット先端。

 クリアー塗装のタレが深刻だったリアフェンダー回りも見てみた。何度もペーパーをかけているのに塗装面がきちんと出ず、くすんでいる。またタレの跡が縦方向に残ってしまっている。
  リアフェンダー部分。

 手作業の限界というところか。要領をよくし、時間をかければ良くなるかもしれないが、まとまった時間を確保するのが難しい現状では残念ながらこれが限界だ。ここは改めて仕上げを安野鈑金さんにお願いしようか・・・。
 ともあれ、1年越しの鈑金作業の結末は、ひとまずこんなところだ。自分で鈑金すれば安上がりだという発想で始めたのだが、確かに8万円という費用は作業部分(ボンネット、左右リアフェンダー、リアアンダーパネル)の多さに比して破格であり、プロの見積り(30万円以上)の約4分の1で済んでしまった。しかし、素人が避けえない途中の失敗や、1年たって出てきた錆を考慮すると、仕上がりもそれなりと考えるのが妥当ではないだろうか。プロはやはりお金をとるだけのことはあるのだ。
 もっとも、だからといって自分でやってみたことが無駄だったとは少しも考えていない。鈑金作業の大変さやノウハウはやってみてはじめて分かることだし、それを知ることでプロの仕事への敬意も湧いてきた。それらは「自分でやってみる」ことによってだけ得られるものなのだ。
 
 

[執筆者プロフィール]
斉藤 円華(さいとう・まどか)…週末自動車ライター。現在、警察庁が検討している「自転車の車道締め出し」。自転車ツーキニストの私には死活問題だ。なにより自転車を歩道に押し込めると、歩行者を危険にさらすことに。車道はクルマだけのものですか?
※ブログ “mdk-on-line” http://mdk-on-line.jugem.jp/
※ mixi(ミクシィ)にもプロフィールがあります。どうぞご覧下さい。

【次回予告】
 昨年に引き続き、JCCAニューイヤーミーティング2007を取材。次回「ニューイヤーミーティング2007 お台場でエンスートレンドを定点観測」をお楽しみに!