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斉藤円華の「週末自動車ライター事始め」・第11回
 
「SHCCミーティングでジムカーナに遭遇、雨でもイイネ!イイネ!イイネ!」
 
 前回予告で6月11日にいすゞオーナーズミーティングを取材しますと書いたが、筆者都合により残念ながら行けなかった。今回は6月18日に神奈川県の大磯ロングビーチで開催されたSHCC(湘南ヒストリックカークラブ)主催の第35回ミーティングの模様をお伝えする。
 
−騎士のスポーツ−
 
 会場の大磯ロングビーチは、昨夜から降り続く生憎の梅雨空。ここの広大な駐車場を使用して、恒例のジムカーナレースが始まるのだ。
 開始は9時ということだったが、私が到着した10時前後に最初の車がコースへと出て行った。フィアット850が、甲高いエンジン音を響かせて走る。
 参加車は1969年までに生産された車両、およびレプリカを含む同型車。排気量や車種ごとにカテゴリー分けされ、小排気量のクルマから出走する。今回はミニやスーパーセブンが大挙して参戦。またサンビーム・レイビア、ヒルマン・インプ、モーガン・プラス8といった希少車も。全体として英国旧車のエントリーが目に付く。どこか上品さや品格を漂わす英国車たちが、雨のコースに突進していくさまはなかなか絵になっている。さながら「騎士のスポーツ」だ。
 フィアット850スパイダー。
 スタートを待つ。ミニ、ヒルマン・インプ、ポルシェ911。
 Rクラスはスーパーセブンなどのレーサー車がエントリー。好タイムを叩き出す車両が多い。
 前回Rクラスチャンピオンのロータス51。
 SHCC会長の村山東(あずま)さんは1930年製オースチン・セブンSPLで出走。活発な走りで注目を浴びた。
 東海大学フォーミュラクラブも自作レーサーで参加。スズキのバイク用Vツインエンジンを搭載。
 
−雨をものともせず−
 
 ジムカーナと聞いて私は勝手に「8の字コース」を思い浮かべていたのだが、実際は違った。巧妙にパイロンを配置することで、ショートストレートあり、スラロームありのバラエティに富んだコースに仕上がっている。コースタイムが1分を切ると、速いな、という印象だ。ベストラップは50秒前後。50秒台前半の選手はゴール時にギャラリーから拍手が沸いた。
 選手も観客も、雨など気にせずレースを楽しんでいる。華麗なターンが決まると歓声がとぶ。私はレースの様子を仔細に観察しようと、コースの袖にまわってみた。パイロンをクリアして、少しの間アクセルペダルを踏み込める区間がある。大きく膨らみながら加速して、こちらへ突っ込んで来そうで怖かったのだけれど、ドライバーの表情を間近に見ることが出来た。まっすぐ前を見て、その風貌はトップレーサーもかくやと思わせる。ムービーも撮影したのだが、雰囲気が伝われば幸いだ。

 カーブの出口でアクセルを踏み、立ち上がっていく。順にMG−B、ヒルマン・インプ、いすゞベレット、ミニ、ポルシェ911、マツダ・ファミリア・ロータリークーペ、アルファスッド1500ti、SR311フェアレディ、サンビーム・レイビア、日野コンテッサ、SR311フェアレディ。









 
競技車がミスコースした。赤旗が振られる。



 ラップは昼を挟んで午前と午後で一本ずつ。一本目を終えて、次に備えてクルマも一息つく。
 
−伝統のコースで−
 
 出走を終えた方に話をきいてみた。
 西山洋介さんは68年式フィアット500ジャルディニエラで参加。このジムカーナは今回で10回目。「タイムは段々と良くなってますね。今日は雨なので、RRですからテールがずるずる滑っていました」。乗り始めて5年目、これまでに2.7万キロ走った。広島の実家への帰省にも使う。
 桜井重雄さんの71年式スズキフロンテクーペはレース仕様。2サイクル3気筒エンジンは、けたたましい音とともに白煙を吐き出す。「レースを始めて40年、ここにも第1回から参加しています。ジムカーナは好きですね」。当日は娘さんご夫婦も一緒。レースが好きだそうで、まさに「レース一家」である。
 綺麗な73年式アルピーヌA110で参加したのは岡本祐一さん。「今回が初参加です。コースではアンダーやオーバーが出て難しかったです」。次に欲しいのはアルファロメオ・ジュリアとか。「エンスーの杜、いつも見てます」
 70年式アルファロメオ・ジュリアスーパー1600で渋く走ったのは杉田祐樹さん。「他にジュリエッタも持っているのですが、修理中なのでこっちで参加しました。雨なので無理して壊さないように走りました。ジュリアはロールが粘るので、コーナーでも頑張ってくれますよ」
 野口和夫さんはご夫妻でエントリー。77年式MG−Bのタイムは「まあまあですね。参加は今回で5回目です」
 インタビューの最後は、SHCC会長の村山東さん。「このイベントもかれこれ20年続いて、ジムカーナとしては伝統あるものとなってきました。会員はクラシックカーを走らせて楽しむ人が多いですね。やはり走らせてナンボ、の世界です」
 大磯ロングビーチの駐車場、実は知る人ぞ知る、マスメディア向けの試乗会やクラブイベントのメッカなのだ。村山さん曰く、ここはジムカーナコースとしても由緒ある場所なのだそうだ。1957年に堤義明氏が開発したこの場所、堤氏もモータースポーツに理解があったのだろうか。
 斉藤さんは何にお乗りですか、と村山さんに水を向けられて、79年式の117クーペに乗ってます、と答えると、「いいですね、湘南はいすゞのお膝元ですから」
 「観ている内に、何だか私も走りたくなりました」
 「一度参加されてはいかがですか。取材かたがた走ってみるのもいいんじゃないですか」
 決まった。次回開催の暁には、ドライバーとしてジムカーナに挑戦してみよう。ただし私はお世辞にも運転は上手くないので、コースアウトだけはしないように、ゆっくりと走りますけれど。
 
湘南ヒストリックカークラブ(SHCC)
TEL/FAX: 0467-25-2866(事務局)
※ 会のミーティングは「CAR GRAPHIC」等の自動車雑誌に事前に告知が出るそうです。
 

[執筆者プロフィール]
斉藤 円華(さいとう・まどか)…週末自動車ライター。夜更かしして目が疲れると、電気を消してキャンドルの灯りに癒される私。柔らかい光、オススメです。
※ブログ “mdk-on-line” http://mdk-on-line.jugem.jp/
※ mixi(ミクシィ)にもプロフィールがあります。どうぞご覧下さい。

【次回予告】
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