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斉藤円華の「週末自動車ライター事始め」・第10回
 
「おかげさまで10回目! 東京スワップミートをそぞろ歩く」
 
 この連載もおかげさまで10回目。記念すべき今回は、5月28日に東京ビッグサイトで開催された「オールドタイマー 東京スワップミート2006」と同時開催の「BP東京ノスタルジックカーショー2006」の模様をお伝えする。
 
−朝は土砂降りだった−
 
 当日朝は、昨夜からの雨が降り続いていた。朝目覚めると「ザーッ」と大きな雨音が。スワップミートって屋外だったよな、無事開催されるのかな、とにわかに心配になった。しかしじきに雨脚は弱くなり、開始時刻の10時にはほとんど止んだ。それでも、空はどんよりと曇ったまま。
 
−スワップミートが熱い!−
 
 あやしい空模様をよそに、会場はなかなかの活況だ。家族連れの参加も目立つ。今回は都心が会場であることと、地方の部品交換会と違い、早朝開始でないことが参加しやすさの大きな要素であるのは間違いない。
 さて、どんなものが売りに出されてるんだろう?
 エンブレム、ウインカーレンズがずらりと並ぶ。




 これはステッカー、キーホルダー。
 新品のフロントグリル。一番手前はケンメリスカイライン、奥がカローラ。他のはどの車種のだろうか。考えながら見て回るのも楽しい。
 各種ホイール。左側の列は軽自動車用か。




 ガレージ・イワサのブースにて。ホンダSのインパネが見える。
 ポルシェ用のバケットシート。自分の車に取り付けたらどうなるだろう、などと一瞬妄想。

 陳列されている品物は当然ながら旧車関連がほとんどだが、珍品にお目にかかれるのもスワップミートならではだ。
 イギリスの名門オートバイメーカー、BSAが第二次大戦中に英国空挺部隊向けに生産した折りたたみ式自転車。ウイングナットで固定するフレームやシャフト型のペダルなど、自転車好きとしては興味深い作りだ。
 連載第8回で取材した、「スピント」の鈴木さんは今回も出店。「斉藤さん、面白いものがありますよ!」と見せてくれたのが、これ。

 「出所は不明なんですが、調べたらこれはどうやら太平洋戦争当時の海軍の戦闘機『紫電』の主脚輪らしいです」。幅170ミリ、直径600ミリ。軽合金製のホイールには、当時のものと思われる緑色の塗装が辛うじて残っている。当時は「鬼畜米英」がスローガンだったはずだが、このタイアのエアバルブは米式で何だか可笑しい。それにしても、こんなものが未だにどこからか出てくるという事実には大いに探究心をそそられる。
 こちらではカップルで品定め。いいですね。
 鮮やかなブルーの見慣れないバン。これは72年式ルノー・エスタフェット。乗用車ルノー8と同じエンジンを積んで、前輪を駆動する。キャブオーバーのトラック・バンでFF(前輪駆動)といえば、他にはシトロエンHトラックといすゞエルフ・マイパックくらい。日本ではなかなかめずらしいクルマだ。
 フロントマスク。ユーモラスな顔つきだ。
 FFなので、荷室の床はこんな感じでとても低い。荷物の積み下ろしは楽そうだ。リアエンジンのVWバンではこうはいかない。
 車内には今村幸治郎画伯の、シトロエンをテーマにした作品が。
このクルマを展示しているのは、主にシトロエンDSの輸入販売を手がける「エス・エイチ総合企画」代表取締役の久川左千夫さん(左)。おとなりはメカニック氏。

 「このバンは諸費用込みで200万円。世に出たのは59年で、ルノー初のFF車です。国内ではまだタマ数は少ないですが、移動店舗などに購入される方が多いですね。外車ということで敬遠する方もいますけど、パーツ供給は問題ないですし、意外と乗りやすいですよ」
 インタビュー時に「幸手クラシックカークラブ」の新津光洋さんが通りかかった。

 新津さんはポルシェ914、ヒーレー・スプライトやパブリカなど登録車だけで6台も所有! わけても「エンスーの杜」を通じて購入したアウディ100クーペSは、連載第5回で取材した、今年のJCCAニューイヤーミーティングで審査員特別賞を受賞した。「とはいえ、アウディのレストアはなかなか大変でした…。今日はパブリカとカローラのパーツを何点か買いましたが、国産車はヨーロッパ車よりもパーツが出ませんね」
 イラストやオリジナルキーホルダーを展示するのは、自動車整備士をしながら創作活動を続ける小出茂鐘(しげかね)さん。以前は都内でアニメーターの仕事をしていた小出さん。どことなく作品にジブリのテイストを感じるのは、そのせいだろうか。描き始めて8年がたつ。
 何を隠そう、かくいう私も小出さんのファンだ。昨年の「CG NAVI DAY」の時に初めてお会いして、作品を購入させていただいた。画の中心にクルマがあるが、そこで描かれる人々の情景が温かい。
 小出さん。作品とともに。  「こういう場で人の目に触れるようになってから、上手くなったかなという気がします」(小出さん談)
 会場には雑誌『オールドタイマー』に連載中の記事「修理は推理だ」の実演車両も。記事を執筆するのは佐野廣志さん。レストアラーにとっては憧れの存在?
 赤いエンジンヘッドが何だか速そうなホンダN360。
 会場には素晴らしいコンディションの展示車両も。どうやらオークション物件のようだ。
 日産S10シルビア。  三菱コルトギャランGS。
 ギャラリーの熱い視線を浴びるクルマたち。  ガバーッと口をあけるメルツェデス。インパクトある展示方法だ。
 
−屋内会場でも−
 
 屋内では「東京ノスタルジックカーショー」が同時開催。目先を変えて覗いてみることにした。
 トヨタ2000GTのブース。ミント・コンディションの2000GTがこれだけ一堂に会すると、凄すぎて何だか感覚が狂いそうだ。
 カーペンター・スクールバス。排気量6リッターで、驚くなかれガソリン車だ。販売業者の方の話。「撮影用のいわゆる劇車として仕入れたのですが、店舗や倉庫として引き合いがありますね。個人使用? うーん、国内じゃ取り回しが大変ですよ!無理なんじゃないですか(笑)」

 記念撮影にもひっぱりだこ。アメリカナイズされたネコバスというところか。ちなみにお値段は1000万円とか。
子供たちに大人気!
 
 日本自動車大学校のブースでは、カローラEVが展示されていた。いわゆる「コンバートEV」だ。10時間の充電で56キロメートル走る。自動車研究科の渡辺雄也さんに話を聞いた。

 「1回の充電でかかる電気代は約167円で、1キロ走るのにガソリン車よりも7円節約できます。まだ改善の余地があって、さらに軽量化して、最低でも100キロは走るようにしたいですね。排ガスを出す旧車をEVにすれば、環境にもやさしいし、資源の再利用にもつながります」
 私は根が単純だから、こういう志の高い若者に出会うと百パーセント感動しきってしまう。トライアンドエラーしながら、体当たりで環境とクルマに取り組む彼らがまぶしくみえる。渡辺さんは続ける。
 「先輩のEVは日本EVクラブの『EVフェスティバル』で、競技で負けてしまったんです。自分はナンバーが取れて勝てる車をつくるぞ、と思ってこのEVをつくりました。後輩にはどうか自分たちを越えて行って欲しいですね」

 日本自動車大学校の学生の皆さん。左端が渡辺さん。その隣は友人で今は整備工場で働く山浦一真さん。「エンスーの杜に今出ているシムカが欲しいです」

 日産スカイライン開発者・櫻井眞一郎さん(右)のトークショー。
 往年の日産のレーシングカーが並ぶ。
 自動車カタログを物色する人たち。お目当ての品はあったのだろうか。
 もとは板前だったという小松雄一さんは鉛筆画を展示。前出の小出さんとも親交がある。「スカイラインが特に好きですね。作品は岡谷市のプリンス&スカイライン・ミュウジアムにも置かせていただいております」
 再び屋外に出ると、厚い雲が消え去って青空になっていた。
 いやもう、一日歩き回っても見飽きない。さまざまな趣向の展示が集まり、パーツがお目当ての人はもちろん、家族連れやカップルにとってもそれぞれに楽しめたのではないだろうか。いすゞ車オーナーの立場で言うと、もうすこしいすゞ関連の展示があればうれしかった。アクセスも至便だし、今回行かなかった人も次の機会には是非足を運んでみてはいかがだろうか。
 
 
感謝!感謝!!読者プレゼント!!!
 今回は連載10回を記念して、皆様への感謝のしるしとして特別に読者プレゼントをご用意しました! イエイ。
プレゼントはいずれも「読者プレゼントにご提供いただけませんか?」という私のあつかましいお願いに快く応じて下さった、スポンサー各位の御厚意によるものです。この場をお借りしましてあらためて御礼申し上げます。
 株式会社エス・エイチ総合企画(http://www.sh-kikaku.com/)の久川左千夫さんからは今村幸治郎画伯のカードセット(3枚一組)をプレゼント。
 「フランス車はいいですよ! ぜひ一度体験して下さい」
 画伯・小出茂鐘さん(http://nagoya.cool.ne.jp/tisjiro/koide1.html)からはサイン入りオリジナルTシャツをプレゼント。
 「これからも各地のイベントに参加していきたいと思います」
 雑誌『オールドタイマー』(http://www.yaesu-net.co.jp/ot/)編集長の柳原解雄さんからは特製!ロゴ入り「旧車趣味」Tシャツをプレゼント。
 「ウチの醍醐味は『いじる楽しさ』。ご愛読くださいね!」
【応募方法】
 Eメールにて、住所・氏名・年齢および本連載をお読みになってのご感想を必ず明記の上、
 ensu_na_presents@hotmail.co.jp
 にご応募ください。締め切りは6月25日(日)。抽選の上、プレセントを差し上げます。
 なお、当選者の発表はプレゼントの発送をもって代えさせていただきます。
 ※ ここで収集した個人情報はプレゼント抽選・発送にのみ使用し、本企画終了に伴い廃棄します。
 ※メールの件名は「読者プレゼント希望」と明記してください。
 

[執筆者プロフィール]
斉藤 円華(さいとう・まどか)…週末自動車ライター。私の周囲で、最近人生の転機を迎えている人がちらほらと。私も自分のこれからをしっかり見据えなきゃ、と襟を正す今日この頃です。
※ブログ “mdk-on-line” http://mdk-on-line.jugem.jp/
※ mixi(ミクシィ)にもプロフィールがあります。どうぞご覧下さい。

【次回予告】
愛知県で毎年開かれる「いすゞオーナーズミーティング」に遠征してきます! 次回「117よ、あれが愛知の灯だ! いすゞオーナーズミーティング参加記」をお楽しみに!