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斉藤円華の「週末自動車ライター事始め」・第8回
 
「群馬・高崎に部品交換会を訪ねて 早起きエンスーは三文の得」
 
 前回の予告で伊豆・修善寺で開催される「CG Spring Meet」を取材すると書いたが、筆者の都合で泣く泣く断念した。代わって今回、群馬は高崎で4月30日に旧車を対象にした「2&4輪部品交換会」が開かれると聞きつけ、さっそく現地におもむいた。
 
−部品交換会の朝は早い!−
 
 現地に到着したのは10時。予定では7時開始〜12時終了ということで、少し遅いくらいかと思ったが、会場は心なしか閑散としている。中には既に搬出を始めている人もいる。
 「???」
 片付け始めている出展者に話をきいてみる。
――あの…もうおしまいなんですか?
 「朝早かったですからね〜。7時くらいが一番賑ってたかな。会場がいっぱいになるくらいでしたよ」
――えっ、7時でそんなに人出が出てたんですか!
 完全に時間の読みを誤った。私自身、朝が弱いせいもあるが、よりによって7時が賑わいのピークだったとは。トホホ…。
 全く知らなかったのだが、聞けば部品交換会は朝の開始が早く、会場によっては前夜から泊り込みで参加するツワモノまでいるのだそうだ。参加者は早い者勝ちで掘り出し物やお目当ての品を買っていくのである。まさに「早起きは三文の徳」だ。
靴や時計、文具など日用品も売っている。
 
 いすゞのマイクロバスを改造した、キャンピングカー。
 桐生からやってきた小玉さん(左端)は友人とともにアルミホイールを出品。
「品物はまあまあ売れました」
 三菱ミニキャブ。ガラスにポストイットが貼ってある。寄って見ると…  売り物だった。「駐車スペースがなくなってしまったので、売りに出しました。今日は買い手がつきませんでした」(出品者のAさん談)
 スバル360。売り物ではありません。レストアされていない、適度なヤレ感がいいですね。
 
−地域密着型−
 
 出展者も参加者も地元や近隣からの参加者が多い。砲弾型フェンダーミラーにシャコタンで『高速有鉛』※テイストにあふれるトヨタ・コロナ(74年式)のオーナーは阿久津さん。栃木県鹿沼市からやってきた。
※『高速有鉛』…国産旧車やネオクラシック、北米仕様などの国産車を中心に扱うフリーペーパー
 「排気量は1.6から1.75にボアアップしました。乗って2年になります」
――トヨタは旧車の部品って出るんですか?
 「ほとんど出ませんね。クラウンのパーツを流用しながら維持してます」
 真ん中が阿久津さん。向かって右は友人の山根さん。71年型セリカに乗る。左は同乗してきた田村さん。
 ライムグリーンのペイントも鮮やかな山根さんのセリカ。「前のオーナーの好みで、エンジンは2T−Gから4A−Gに載せかえてあります。足回りもハチロク流用です」。さしずめセリカの「イニシャルD」仕様というところか。ハヤシのホイールがマッチしています。

 アウトビアンキ・アバルトA112発見。あれ…、アバルトって軽登録だっけ?

 横から撮影。…お気づきですか? 実はこれ、マツダ・キャロルをアバルト仕様にコンバートしたもの。というより、そういう表現が適切かどうか考えてしまうくらい、外観はアバルトそのまんまである。
 オーナーの鈴木啓一さんは太田市でイタリア車専門店「Spint(スピント)」を経営。今日はモモのハンドルなどを出品していた。
 「アバルトのフロントフェンダーやバンパーなど、ボルト・オン…ていうかタッピングビス※・オンで取り付けてあるんです。費用も思いのほか掛かってないんですよ」。そういって鈴木さんは痛快に笑う。ベース車も事故車を2万円で手に入れた。プロとはいえ、安価でここまで遊べるのである。思い切りの良さに脱帽だ。

※ タッピングビス…木ネジのように、穴さえあいていれば自分で山を切っていくネジ。
 
 これは珍しい、スズキRE5。海外でのみ販売された、ロータリーエンジン搭載のオートバイ。オーナーの岡田さんによれば「国内では10台あるかどうか。海外ではクラブもあります」。2スト車のような乗り味なのだとか。エンジン音が大きいので、朝の始動時には離れたところまで押していくという。実際にエンジンをかけていただいたが、乾いた排気音が印象的だった。
 GT750のメーターを流用。220キロまで目盛ってある。
走り屋仕様?のヤマハ・パッソル。
 『上州高崎2&4輪部品交換会』主催者の笠原圭一さんにお話をうかがった。

 「春と秋に開催して、今回で4回目です。私もハコスカをもっていまして、旧車好きが高じて交換会を主宰するようになりました。出展者の方もマナーがいいので、大きなトラブルもありません」
 収益はチャリティー寄付している。会場は工業団地のなかにあるが、これも企業の理解があればこそだ。
 「朝は早いですが、東京など遠方からのご参加も歓迎しています」

 
−駅前のだんご屋さん−
 
 交換会は12時に終了したので、折角来たのだからと高崎市内をドライブする。
 会場近くで草ヒロ物件発見。310ブルーバード。撮影したら農家の人に「そのクルマ、知ってんのー?」と声をかけられた。
 高崎といえば「だるま」。おなかが空いたので何かうまいものでも、と思ったが「だるま弁当」では有名すぎて芸がない。ちょうど高崎駅西口前近くに雰囲気のあるだんご屋さんを発見。みたらしだんごが5本で250円。いただいているとお茶も出してくれた。この気遣いがうれしい。

 『もち一番 第一協和』(027−322−3634)のおかみさんは「長いことこの場所でやってきたんですが、駅前再開発で6月までの営業なんですよ。今の店舗にも愛着があるんですけどね…、時の流れですからねぇ」と話してくれた。
おかみさん。店のおすすめは豆大福(500円)。
地元で親しまれている。客足が絶えない。
 
 今回取材した部品交換会のようなイベントは、開催時間や場所の関係もあってか、地方都市をメインに行われているようだ。ショーアップされたイベントとはまた違った、手作り感あふれる雰囲気もとても親しみやすく感じた。注意すべきは、朝が早いこと。ゆっくり行ったら終わっていた、なんてことにならないようにしましょう。余った時間で観光するもよし。早起きエンスーは三文の得、ですぞ!

上州高崎2&4輪部品交換会 実行委員会ウェブサイト:
http://homepage1.nifty.com/k-kasahara/index.htm
 

[執筆者プロフィール]
斉藤 円華(さいとう・まどか)…週末自動車ライター。先日初めて東京・新宿の「末廣亭」に寄席を見にいってきました。テレビじゃない生の芸は息遣いまで伝わりますね。久々に大笑い。
※ブログ “mdk-on-line” http://mdk-on-line.jugem.jp/
※ mixi(ミクシィ)にもプロフィールがあります。どうぞご覧下さい。

【次回予告】
栃木県宇都宮市で「農業発動機」の運転会があるという。『オールドタイマー』紙にも取りあげられる程、最近ひそかなブームになっている(?)。次回『今度は早起き 農業発動機運転会に潜入』をお楽しみに! エンスーと農業発動機の知られざる関係とは?!