1955年のパリ・サロンにおいてシトロエンDS19が発表、未来から来た乗り物のようなスタイルと金属スプリングの代わりに気体ばねと高圧オイルを用いる独創的なハイドロニューマチック・サスペンションを装備した車として会場を訪れた人々を驚かせます。
発表の日だけで1万2千件もの注文が舞い込み、“時代より20年は進んだクルマ”とジャーナリストたちが書き立てたというのは有名なエピソードです。
1957年のトラクシオン・アヴァン生産終了に伴い、その代替としてDSの仕様を簡素化した廉価型「ID19」が登場しました。「ID」は「イデ」と発音し、フランス語で同発音の「Ide´e」(イデアの意)とかけたネーミングです。基本的にはDSのエンジンをデチューンし、サスペンションシステム以外を一般的なマニュアル変速機、通常型ブレーキ、パワーステアリング省略仕様としたモデルです。この結果DS/IDシリーズはシトロエンの中〜上級レンジを一手に担うモデルとなります。
1958年にはワゴンタイプの「ブレーク」が登場します。
1964年、内外装をグレードアップしたデラックスモデル「DS19パラス」が発売されます。
1967年には、埋め込み式の2灯(パラス仕様は外付け式の補助灯2灯が追加)であった前照灯を、ガラスカバー付きの4灯式デュアルライトに変更となりました。
そして1974年に後継モデル「CX」にバトンタッチし、1975年に生産終了となりました。
今回ご紹介するモデルはシトロエンDスーパー、DSの廉価版でコラムシフトの4速のマニュアルミッション車です。廉価版ということでサスペンション、ブレーキ、パワーステアリングはハイドロニューマチックですが、トランスミッションはハイドロニューマチックではありません。アキュームレータは1個少ないことになります。
外装の相違点は両サイドにあるセンターモールディングがありません。センターモールディングのリヤリフレクターにかかる装飾もありません。また、両サイドのクォーターパネルにはDSのエンブレムがありません。
内装は簡素化されています。例えばドアトリムの一部は鉄板のむき出し部分があります。全てのシート生地が本革ではなくビニールレザーとなっています。
現オーナーさんはシトロエン好きな方で約2年前に購入します。それまでもCXや2CVを乗り継いできましたが、やはり落ち着くところはDSだったそうです。しかし、最近もう一台DSパラスを購入・・・そのパラスのモディファイのため、エンスーの杜への掲載依頼となりました。
ボデーはきれいな状態でした。錆びや塗装の浮きは見当たりません。下回りも拝見しましたが気になる個所はありませんでした。
この車両、後部にトレーラ牽引用のフックが装着されていました。しかし、牽引フックの詳細はわからないそうです。
インテリアもきれいな状態です。特に気になる個所はありませんでした。
機関も良好です。ハイドロニューマチックも異常はなく、アキュームレータも車検時に交換しています。
購入してからのモディファイ個所は燃料系で、キャブレター及びインテークマニホールドをDS21用に変更、エアクリーナーはJR製のスポーツエアフィルターに変更など動力性能をアップさせるために実施しています。
また、燃費を向上させるためエアフィルターの周りに特殊な石を巻き付けています。
以前ステアリングラックよりオイル漏れがあったのですがステアリングラックASSYを交換していますので、これも心配はありません。
ブローバイガス用にオイルキャッチタンクを取り付けています。
屋根付き車庫に保管。
車両は愛知県にあります。
個人売買の為、消費税などかかりません。
リサイクル費用と自動車税の月割り負担分は、別途、清算させて頂きます。